深い河、再び
いやあ、久々にレビューでも書こうかな。ここんとこ出来事日記が続いてたからね。たまには腰を落ち着けて。
映画版「深い河」見ました。
まあ原作は僕のなかでの永遠のベストセラーだから、どんなもんかなーと思ってみたけど・・・
78点です。
輪廻転生、表裏一体の善と悪、西洋的価値観と東洋的価値観の比較対照など、この作品におけるメッセージは聖なる流れガンジスにすべて集約されている。
悩める人間たちがそこに行き着くまでの細かい心理描写や、些細なできごとから察せられる登場人物の人柄などすべてを表現している点では、やはり原作のほうが上だったのかなと思った。逆に言えば、心理描写や風景描写が映画に勝っていると感じさせるほど、文字であますところなく伝えているのが、遠藤周作作品の偉大さでもある。
映画版のみどころといえば、やはりリアルな世界が見えるところ。フランス教会、イスラエル、(原作そのまま、僕の大学も出た!)すべてのカオスを抱え込むインド、ガンジス河など、頭の中でイメージしていた以上に荘厳な印象を受ける場面もあれば、想像通りだった場面、または物足りない場面もあったりと、なかなか考えさせられた。
特に印象深かった場面は、インドの女神チャームンダーをツアーの添乗員江波が紹介する場面だ。「彼女の乳房はもう老婆のように萎びています。でも、その萎びた乳房から乳を出して、並んでいる子供たちに与えています。彼女の右足はハンセン氏病のため、ただれているのがわかりますか。腹部も飢えでへこみにへこみ、しかもそこには蠍が噛みついているでしょう。彼女はそんな病苦や痛みに耐えながらも、萎びた乳房から人間に乳を与えているんです」
この表現からなんとなく想像はできたけど、実際に映像で見るとまた違った印象を受ける。
この女神はカーリーともいい、ヒンドゥー教の絶対神、シヴァとヴィシュヌのうち、シヴァの妻。
聖母マリアとは似ても似つかない女神の姿がそこにはあるが、民とともに苦しみ、人々の善も悪も受け入れる存在に慈悲のもうひとつの形が確かにあるのだろう。
・・・総括。
まず原作を読むべし!
読んだら映画も見よう。新しい発見もあるし、もう一度原作が読みたくなる。
ちなみに95年の映画だから古いよ。キャストは秋吉久美子、奥田瑛二、井川比佐志、沼田曜一など。古いからね。そのあたりはしかたない。
でも昔の秋吉久美子って超美人でセクシーだったんだね。
ちなみに僕の原作文庫は誰かに貸したりしているうちに紛失。貸してるうちに忘れて紛失してる本、結構あるんだよね笑
誰かもしもってたら教えてちょ