新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

あにまみれ

先週の土曜日、取材でマスコミソフィア会主催の20周年記念講演会「アニメの全てがわかる〜アニメで育った青春 その青春を知りたいあなたへ〜」にいってきた。

つっこみどころ満載ですがまあ仕事です、仕事。

なんで今頃書くのかといいますと、記事でいっぱいいっぱいだったから。まあ御託をならべるのはここまでにして。



講演会の前に理事の方に一言いただいた。

「今の若者の深層心理に関わっているアニメを捕らえなおすためにアニメを題材にしました」ほほーう。



講演会が始まるといきなり松本志のぶが登場してびっくり。情痴卒って知らなかったけどね。綺麗だったわあ。

そして司会の人が日本のアニメーションの現状についてしばし語る。

日本のエンタテイメントコンテンツで、世界で最も認知されているのがアニメである。映画の輸出が苦戦する中でアニメの輸出は一層盛んになっている。

02年、小泉内閣時に政府は知的財産立国を目指して文化的コンテンツの育成を支援することを表明した。

かつてアメリカはハリウッドを中心とした映画産業を国策として推進。結果、興行収入が得られるようになるとともに、全世界に映画というわかりやすい形でアメリカの権威が伝わるようになった。この波及効果は数字以上のものがある。

一方日本はエンタテイメントの興行収入はアメリカの5分の1である。よって麻生太郎外相のアニメ大使(?)に始まり、日本の文化的コンテンツ強化への一歩が踏み出されつつある。





ここでいきなり







プリ・キュア♪プリ・キュア♪プリ・キュア♪プリ・キュ・ア!!





よもや霞ヶ関でプリキュアを見せられるとは思わなんだ。同席していたUさん

「今のプリキュアは5人いるのよ」

   ∩___∩

   | ノ      ヽ

  /  ●   ● | プリクマ──!!

  |    ( _●_)  ミ

 彡、   |∪|  、`\

/ __  ヽノ /´>  )

(___)   / (_/

 |       /

 |  /\ \

 | /    )  )

 ∪    (  \

       \_)



プリキュアのキャラクターがアニメの製作過程を説明してくれました。企画→作画→録音と段階別の作業工程にはアニメ職人の熱い魂を感じてしまった。そしてプリキュアをまじめにみつめるおじさま方がかなりツボだった。



いよいよ講演会始まる。

東映アニメーション取締役、現日本動画協会専務理事の山口康男氏。日本アニメの歩みは自動車産業に似ているというテーマ。

本人曰く、アニメの伝道師。実際日本のアニメの歴史について造詣の深い話が聞けた。

戦前、日本のアニメプロダクションは個人経営の小規模なものだったという。それが戦争中、軍部が報道を全て掌握したため、アニメは消滅する。

そして戦後、アニメは思わぬ形で復活。あのマッカーサーが、占領政策に必要なメディアの一つとしてアニメに白羽の矢を立てたという。ディズニーアニメに代表されるわかりやすいアニメーションを作らせるため、新日本動画という会社を作り、全国のアニメーターを集めたものの、皆過去に集団でのアニメ作成経験がなかったため、意見がバラバラに。船頭多くして船山に登る状態というわけでマッカーサーも途方に暮れ、計画は頓挫。

そこで1956年、組織的なアニメ製作会社を目指し東映アニメが設立される。そこでモデルとされたのがディズニーの製作法だ。そもそもディズニーがモデルにしたのは自動車工場のシステム。段階別に部門を組んで、チームワークの流れ作業で車のくみ上げる。この方法を取り入れた東映アニメが、現代の日本アニメの祖とも言えるそうだ。



ここで現代のアニメ国際化の話に飛ぶww一方で現代では週100本の日本アニメが放映されている。これらは全てが日本人によって作られているわけではなく、アジア諸国のアニメーターの協力によって作られている。彼らの人件費は安いものの、優秀な人材は増えてきているそうだ。

しかしここにきて厨国など、日本アニメを輸入制限する国も増えてきている。技術が高度化してきたところでしばらく日本アニメの流入を阻止し、その間に自国独自のコンテンツ育成を図るという話だ。まあ変なキティとかドラえもんを見てるうちはインスパイア祭りのような気がするが。



ここで再び自動車の話。かつて、日本車のアメリカへの輸出が過剰になり貿易摩擦が問題となった。

その日本車ももとはといえば、日本の技術者がアメリカの車を解体して技術を学んだところから始まり、やがて日本車にその技術を生かし、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」となったわけだ。しかしアメリカで日本車がバッシングとなってしまっては商売上がったりということで、日本の自動車会社はアメリカに工場を作り技術を現地で提供することで互恵関係を築いてきた。

アニメも、すでに製作、輸出ともに国際化が進んでおり、各国との互恵的関係が欠かせない。アジア各国との友好的な関係を維持する必要があるそうだ。ふむふむ。



そしてアニメの未来。TVアニメの波及効果は製作者の考えられないものになる時がある。予想以上のヒットもあれば鳴かずとばずのときもあるということだ。

これからはアニメの作成コストが下がるものの、少子化の影響が大きい産業であることは否めない。それ以上に、一部の消費者を対象にしたアニメが幅を利かせてしまっている面がある。いわゆる深夜アニメだ。これらは一般的な少年少女でなくいわゆるオタク層をターゲットとしている。それがまた一部のファンを除く多くの人たちのアニメ離れを加速している。

「え?アニメ?オタクじゃん」的に3歩引くみたいなね。かくいう僕も厨2までそうでした。

厨2で僕はエヴァに出会ってしまったからいい意味でも悪い意味でも今の僕が出来上がっている、そんな気がする。



12年ぶりにエヴァを再劇場化することにした庵野秀明総監督の決意表明を思い出した。

http://eva.yahoo.co.jp/gekijou/big_message.html

ここで言うには



10年以上昔のアニメを何故今更とも思います。

エヴァはもう古い、とも感じます。

しかしこの12年間、エヴァより新しいアニメはありませんでした。

閉じて停滞した現代には技術論ではなく、志を示すことが大切だと思います。

本来アニメーションを支えるファン層であるべき中高生のアニメ離れが加速していく中、彼らに向けた作品が必要だと感じます。

現状のアニメーションの役に少しでも立ちたいと考え、再びこのタイトル作品に触れることを決意しました。



僕が必要以上のエヴァ好きということを差し引いても、文部科学省 文化庁メディア芸術祭「日本のメディア100選」でも堂々の第1位に選ばれた神話的大ヒットアニメ作品「エヴァンゲリオン」という世間的評価は揺らがないと思う。



確かにエヴァ以後の日本アニメーションの革新は止まったかのように見える。たしかに技術では進化している。CG、画質、音楽ともに向上はもちろん見られる。しかし信念の見られるアニメが少ないというのはたしかな評価だろう。ガンダムも初代、Z以降はつっかえながらきている。魂と見やすさをかね合わせたアニメが求められている。映画では宮崎アニメがそれを貫き通している。エンタテイメント性も満たしていてアニメとして完璧と思う。

もしもアニメに心を動かされる子供が少なくなれば、それは次代の人材の欠乏を生むだろう。技術は伸びた。しかし今、革新的な構想力、国際的な人脈を形成できるプロデューサーが求められている。



そうだ。

勝手な自分的妄想を加えながらきた講演会レポートは一休み。実はまだ半分しか終わってないのです。ではでは。