新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

新宿から高円寺に至る



午前6時、目覚ましに起こされむくっと起き上がり、携帯を見て野球の中止連絡を見た。それなりに楽しみにしていた最終戦だったが、天気ばかりはどうしようもないな・・・と寝起きの脳みそのまま用を足し、再びずぶずぶと眠気の沼に沈みこんでいった。







気づいたら妹の大きな声が聞こえていた。枕元の時計を見やると12時。

どうやら叔父と新宿に買い物に行くからついてこないか、30分後には出発するから、と言っているようだ。

毛布に包まって生半可な返事をしていると妹は去っていった。

20分後、スリッパを履いた妹のつま先が僕の脇腹に入った。僕は目覚めた。





どうやら妹は入学祝のデジカメを買ってもらうらしい。僕が付いていく必要性がよくわからないのだが、とりあえずいいものを探せ、ということなのだろうか。

新宿の電気量販店でキャノンのイクシデジタルを選んだ。メーカー的にも間違いはないだろう。

目的を達成した後は叔父が好きだという桂花ラーメンに行った。新宿では老舗であり、熊本風のスープに、じっくりと煮込んだ豚肉の入ったターロー麺というのが美味いという。

おごりであるのをいいことに全部入りの大盛りラーメンを注文してしまった。吝嗇である自分がこんな豪華な注文をすることなんてそうそうないだろうな・・・と思いながらラーメンをすすった。今日は寒かったこともあり五臓に沁みる旨さだった。





ラーメンを食べ終わると、叔父は買い物があるからまたな、と伊勢丹に消えた。新宿での用事はないものの、時間だけはあった僕と妹は、食後の腹ごなしの運動を兼ねて西へと歩くことにした。

郊外の大学に通う妹は新宿で遊ぶこともそうないようで歌舞伎町のラーメン屋一つにやたらt反応する。

妹がビリヤードをやりたがったので一時間ルールを教えながらやってみた。レディースデーでタダでプレーできたことを喜んでいた。



新宿から大久保に抜け、くねった小道を進んで中野に着いた。せっかくなのでブロ−ドウェイに足を運び、いくらか店を覗いた。ほんの少し訪れないだけでも少しずつ店の顔ぶれ、品揃えが変わっている。街と同様に生き物のような場所だ。

売り切れ再販になっていたミクが並んでいたので購入した。妹は、セル画オークションやらタコシェという本屋やらに興味を示していた。

帰りにサンモールの横道の飲食街をぶらついたが、まだ大盛りラーメンが腹持ちしていたので見送った。





中野から出ると高円寺まですぐ、と伝えると高円寺にも行きたがったので早稲田通り沿いに歩いた。途中環状7号線とぶつかるufotablecafeという店がありつい足が止まった。

劇場版・空の境界を製作したスタジオゆかりのカフェ・レストランのようだ。また次回訪れようと思った。こういう偶発的な発見があるから散歩は面白い。







途中から庚申通り商店街に入り、高円寺に到着。

大学でガラス工芸を専攻している妹は、ガラス小物の店やギャラリーなどに入っては驚嘆の声を上げていた。

どうも今ガラス球の中にガラス細工の入った「蜻蛉球」というのを作っているらしく、工房の付いた店があるのはなかなか珍しいんだとか。

後はむげん堂やチチカカ、ポタラといったアジア雑貨の店にやたらつれ回された。ブロードウェイに付き合わせた手前ちゃんと付いていったが、それなりに楽しめたと思う。民族衣装のような出で立ちの妹は、手編みポーチやお香などを嬉々として買い占めていた。





この街もしょっちゅう顔を変えるもので、ゲームセンターがレストランになっていたり、ビレッジバンガードができていたりした。

よもや高円寺にできることはあるまい、と思っていたのだが、2階建ての立派なのがドーンとできてました。

僕はビレッジバンガードという店自体にはぼちぼち入る。吉祥寺や下北沢に立ち寄るときにはしばしば覗く。にも関わらず大好き!!と言い切れない。





多分その理由は、ポップな店の雰囲気からではないか、という結論に至った。

僕は勝手に、本当の良書とかひとひねりした品物は一見近寄りがたい場所で、埃をかぶりつつひっそりと並んでいるべきだ!!と思い込んでいる節があるんですね。

それがビレッジバンガードに行くと綺麗にレイアウトされてて、オシャレに見えてしまう。ブロードウェイのタコシェで扱いそうな飛んでるキワモノが陳列されていないっていうポイントも一つの要因なんだけども。







しかし、なんやかやいってもビレバンでイチオシされているものは割と良書だし、僕が全てを読みつくしているわけでもない。

気づかされるものも心を揺さぶられるものもたくさんある。

仙人のような読書家や文化人ならいざ知らず、無知な僕のような若造が偉ぶって毛嫌いする理由なんてどこにもないのである。

ただ単に、僕がまんだらけの大預言や暗い古本屋のような環境で本漁りをするのが好きというだけで、置いてある本自体にはなんの罪もないし、価値は同じなのだ。









好き嫌いなんていう感覚なんて、納得をして慣れれば簡単に消える。感覚による目くらましで大切な本質を見失ってしまうのはもったいない。

これからは、そこにシビれる!あこがれるゥ!って感じでビレバンの最先端のイチオシにもアンテナを張ってみようかな、と思ってます。ちょうど行きやすいポイントにできたんで。







その後古本屋でカウンターの髭の男性に100円の文庫を持っていくと

「いつもありがとうございます、澁澤龍彦、お好きですよね?入ってますよ」

と言われた。

多分向こうからすれば毎度毎度100円の本しか買わない貧乏学生、といった認識なのだろうが、そんな些細なことで心中汚らしくほくそ笑む自分がいることもまた認めざるを得ない。







それにしても今日はよく散歩したのでぐっすりと眠れそうな感じです

おやすみ、マンモス。



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