新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。



角川書店2010年新卒採用エントリーシート課題作文

「行」というテーマでタイトルをつけて、800文字以内の作文をしてください。  



   「行間に魅せられて」

「行」とは文における最大の魅力だ。文を書けと言えば、漢字とひらがなさえ書ければ誰でも書けるだろう。だが古今東西「作家」と呼ばれる人々の書くような、行間から魅力が溢れ出すような文を書くことは容易ではない。なぜか。彼らの文には行間に不断の努力により流れた血と汗が滲んでいるからだ。



 一つの物語を創り出すというのは痛みを伴う作業だ。まず作者の伝えたいテーマがあり、それを表現するために様々な場景、感情を描写していき、作品全体としてテーマを体現する文章を完成させなければならない。しかしありふれている、語り尽くされた表現の積み重ねでは彼にしか紡げないような物語は生まれないだろう。段落、文脈からたった一つの形容詞や句点に至るまで、浮かんでは消える言葉の海の中で、作者は時に溺れそうになりながら試行錯誤を続けなければならない。



 そういった、作者の息遣いのこもった創意工夫の末に出来上がるのが、私たちが書店に行けば簡単に手にとれる一冊の本だ。その表紙を開けば流麗なものや精密なもの、官能的なものから思わず笑みがこぼれるような一癖あるものまで、作者の数だけの魅力が行間から溢れ出す。そしてその本が投げかけるテーマやメッセージは私たち読者に新しい世界、価値観を提示し、凝り固まりがちの私たちの脳にアウフヘーベンを促してくれる。



 出版不況が糾弾されて久しく、インターネットの普及や出版流通システム、活字離れなどの問題が原因として挙げられている。しかし、作者が行間に命がけで魂を注入した末に出来た本の文化的な価値は普遍だと私は思う。だから出版という業界で働くことで、その価値の創り手たちにささやかな助力ができる環境に居たい。また時代の求めるテーマが反映された本がより早く読者の手に入る環境の整備に貢献したい。それが、味わい深い「行」の魅力に囚われた者の一人である私の願いだ。





こんなん出しました。もう締め切りとっくに過ぎたしひまだからうpします。

気づいたら3月だね。ホワイトデーにも今年はやった逆チョコって適応されるのかねえ。

そしたら一ヶ月遅れでまさかの実質上バレンタインデーが・・・あったりしないよな常考