人間のプーさん
1月14日、東京に積雪15センチの雪が降った。
雪に不慣れな東京の交通機関はあらかたマヒし、成人式で外出せざるを得なかった新成人でもなければ、あらかたほとんどの人は敢えて外に出ることはなかっただろう。
しかし
だがしかしだ。
その日に敢えて我が家で鍋パーティーが決行された。
ことのあらましはこうだ。
12月某日に僕は合コンに参加した。その中の女の子に一人、気の利くセニョリータがいて
「せっかくだから合コンするだけじゃなくてもう一歩仲良くなれるような営みをしよう」
というのをその子のとりまとめで計画してくれたのだ。
そしてその合コンの男子メンバーには、齢25を超えても、いまだ遅刻日数100日以上という17歳の面影を残しすぎている廃人、まさとがいた。
当日。一向にやむ気配がない雪だったが女性陣は全員参加とのこと。
「なんてアグレッシブ女子なんや・・・生きててスンマセン。イヤマジで」
そう思いながら参加確認を男子メンバーにしてみるも一名なかなか返信がない男がいた。
まさとである。
いろいろとコンタクトを試みた結果LINEに反応が。
一行で言うとこうである
「さいたまから出られませんでした」
以降、僕のスマホのLINEがしばらく荒れた。
※まさと以外のさいたま在住の女性は二人とも参加していた。
それでもつつがなく鍋パーティーは決行された。
買出しをしすぎて手がちぎれそうになりながら物資を僕の家まで運ぶまでは大変だったが、食材は女性陣が調理してくれるという。
黙っていれば料理が出てくる幸せ・・・これがアヴァロン、いやシャングリラ・・・エルドラド・・・ようするにすごく・・・ユートピアです・・・
的な気分で殿様のように写真撮影などしながら料理が出来上がるのを待っていた。
その甘ったるい幻想の間隙を縫って、絶望や嘆きに近い悲痛な叫び声が台所から上がった。
「ヤバい!なんかある!」
この会が催されるに当たって、あらかた独身男性独特と思われるアイテムは目に触れないところに隠しておいた。つもりだった。
僕にとってキッチン下の物置=あまり料理をしない=目に触れないところという脳内変換だった。
単刀直入に言おう。果たして彼女たちが目の当たりにしたものはTENGA的なサムシングだった。
これくらい革新的な技術で、性の未来を切り開く安全かつスタイリッシュな製品ならまだ救いようがあった。
そこにあったのは、ニューしんばしビルの2階の寂れた店の前にある1回500円のガチャガチャで出るような、実に安かろう悪かろう、かつ見た目のグロテスクなイチモツなのであった。
さながらウミウシ
やナマコ
に似たそれが
彼女たちに与えた心象ダメージは想像に難くない。
いや、むしろそれと同時に
「こいつ・・・人間のクズや・・・ほんまもんのクズや・・・」
とふつふつと心の中で怨嗟の声を上げていたかもしれない。ホント、生きててすみませんでした。
と思いながらも何事もなかったかのようにみんなで料理をおいしくいただいてしまいました。
普通の感覚ならば完全に落ち込むべきであろう。
だが僕はどちらかというと興奮していた。
完全に事故ではあったが、自分の最大の暗部、ATフィールドの最奥に秘したかった部分を自らの過失でさらけ出してしまった、かつ異性に。
安心しきっていた感情が一瞬のうちに大いなる後悔に突き落とされるその感情の動態という事実。ただそのことに対してテンションが上がっていたのだ。
広いこの世の中、変態はたくさんいる。
「俺、意外と変態だから」
ネット上に跋扈する肉欲さん(http://2949.seesaa.net/)やねんまに(http://www2.plala.or.jp/ckaok609/)さん、ヨッピーさん(http://yoppymodel.blog66.fc2.com/)といった本当の豪傑の存在を知りながら、安易にそういったリリックをつぶやきたくなかった僕だったが、その時ようやく自覚した。
「自分、確実に変態のハシクレですわ」
・・・
かくして今回の「男女仲良く温かい鍋を囲むべきパーティー」は粛々とウマい鍋をつつきながら終わった。だが同時に、
「普通のリア充っぽい男女平等参画的なイベント」に僕やまさとのような「人間のプーさん」を放り込むと進行上こういった悪影響を及ぼすということがあからさまに証明されたイベントであった。
(この後、18禁すぎて詳細をお伝えできないが撮影会「LINE ADULT ブラウンのブラウン」が開催された。しかし、参加者のアイデンティティと社会的地位を著しく損なうため非公開とさせていただく。)
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