新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

インドで僕も考えた〜3月16日、デリー〜

午後9時半、けたたましいクラクションの音で目が覚めた。
インド人は基本的にクラクションを鳴らしながらバイクや車を運転すると聞いていたがどうやらそれは本当らしく、これからも朝になると、クラクション、おっさんの祈りの歌の声、動物の鳴き声、子供の声等で強制的に起こされる日々が続くことになる。

今日のミッションはニューデリー駅で17日に使う列車の切符を取ることだ。
「切符を買う」日本では当たり前のことだが・・・


初めての昼間のインドである。不安と期待に胸を膨らませてホテルを出たら、細い路地を猛スピードで走るバイクにクラクションを鳴らされてのけぞった。

路地を抜けると駅前のバザール。

とりあえず、臭い。発生源はあきらかで、道の至るところに落ちている牛糞、人々が出した生ゴミやポイ捨てされた食べ残しなどが放つ臭いだ。


とりあえず人が多い。多すぎる。

やたらと話しかけてくるおっさんを振り切ってニューデリー駅へ。

首都の駅のはずなのだが、構内に転がっている人や野良犬などで大賑わい。

バイブル「地球の歩き方」に従い列車に切符を予約すべく駅の2階に上がろうとするがおっさんに呼び止められる。

「列車の切符は駅で売っていないぞ!あと外国人は上に上がったらだめだ!旅行会社で買えるから案内してやる!」とおっさんに絡まれる。

当然詐欺なので無視。これを信じると旅行会社で高額なツアーを組まされることとなる。


2F切符購入窓口は多くの外国人や旅行者が列車の切符を求めに集まっていた。
僕たちもその列に並んでいると白人のおっさんが話しかけてきた。

「インドは好きか?」

「ついたばかりだが、まあまあだな」

「俺は嫌いだ。臭いし、嘘つきだし、金にがめついし、メシもまずい。いいのは物価が安いことだけだな」

そのわりにはバラナシに1ヶ月近く滞在していたというギリシャ出身のカメラマンのおっさん。

中々フレンドリーで、バラナシで宿泊したオススメの宿の情報も教えてくれた。話にも知性とユーモがあった。

彼いわく「日本人は頭はいいが、国に引きこもりがちで頭でっかちだ。外国にもっと出て世界の広さを自分の目で確かめたほうがよい」そうである。なるほどな。


窓口で働いているのはシーク教徒のおっさん。インドではマイノリティの宗教だが出家ではなく働くことを推奨しているマジメな宗教である。なんとか17日のアーグラ行きの切符をゲット。

切符1枚手に入れるのにエラく疲れて腹が減ったのでネパール人の経営する韓国料理屋へ。

なぜ韓国料理屋かというと先にインド入りしていたHとNがインド料理に食傷気味だったためである。普通にインド人の住むアパートの屋上にあるレストランだったが焼肉ご飯がうまかった。

(インドの物価は1ルピー1.7円。だいたい綺麗な定食が170円で食べられる)

飯のあとはイスラムモスク、「ジャマーマスジット」へ。
4キロほど距離があるためオートリクシャ(3輪タクシー。インドの足)を利用。

基本的に交渉が可能で安く移動することも可能だが、せっかく値切っても道中こんな展開が。

おっさん「この街はガンジーの遺跡も有名だ。いかないか?」

僕たち「(遠いところにあるのを知っているので)いいや、いい。真っ直ぐいってくれ」

おっさん「そうか、残念だな。そうだ、ヒンディー語オーケーってなんていうか知ってるか?ティーク、ハエーだ。言ってみろ、ガハハハ」

僕たち「ティーク・ハエー」

おっさん「その調子だ!」

・・・5分後

僕たち「おっさん、明らかに違う方向いってないか?」

おっさん「オーケーって言っただろお前ら。ガンジーの遺跡に向かってるぜ」

僕たち「おい、いい加減にしろ!まっすぐ行け!」

(電話しながら運転は当たり前。常にクラクションを鳴らしているが車間距離は30センチほどなのでバイクなどにぶつかりそうになる。雑談はいいから前を向いて運転して欲しいと何度思ったことか)


数少ない信号でリキシャが止まるとその隙を見計らって果物売りや物乞いがリキシャの中に手を差し入れてくる。

(勝手にバック転や軟体体操を見せてバクシーシ(喜捨)を求める少女。かわいいが胸が痛くなる)

オールドデリーバザール前のジャマーマスジットへつく。デリーはイギリス統治後に開発されたニューデリーと、それ以前から反映していたオールドデリーに分かれている。オールドデリーはさらに壮絶だった。

(上から見たオールドデリーバザール。人力車、オートリキシャ、人、牛、野良犬が隙間なく歩く。)

ジャマーマスジットはインド最大のイスラムモスク。タージ・マハルを作った皇帝シャー・ジャハーンが作った建築。

入り口でカメラ持ち込み料金を取られる。このころにはインド人に金を取られることに辟易していたHがカメラを隠したがインド人はカバンをつかみ中を空けることを要求。結局金をとられる。
そして短パンで入ったNは別のインド人に呼び止められ、強制的に腰に布を巻かれた。どうやらすねを神前で出すのはNGらしい。そして布代をとられる。


(釈然としないN)


モスク内で礼拝しているインド人はあの胡散臭さはどこにいったのかというほどに敬虔そうである。

40メートルほどある塔に上るのにまた金をとられる。
塔の上からの景色は確かに圧倒されるのだけど、美しさに圧倒されるというより街のカオスとエネルギーに圧倒される。

次はラールキラー城塞へ向かおうとオールドデリーのバザールを抜けることにするが道に迷ってしまう。





完全にインド人しかおらず、たいそう奇異な目で見られる。人口密度MAX。恐怖すら感じたが忘れられない思い出になりました。

(インドには牛と並んで野良犬もめちゃくちゃ多く、こうやって寝てるか街角の生ゴミを漁ってる)

迷ったが1時間以上かけてラールキラー城砦へ。







城砦内はインド人にとっては公園のような存在らしく(観光客は250ルピー、インド人は20ルピーでは入れる)、ファミリーやレジャー、デートに来た圧倒的な数のインドに押される。ちなみにインドでは仲良しは手をつなぐので、街を手をつないだり肩を組んで歩くおっさんとよく会う。

さすがに夕方5時となり、心身ともにすり減ったのでリクシャでニューデリーのバザールへもどり「ティー・インディア」でお土産に紅茶を買う。


店主は日本語も巧みで、値段も良心的。

夕食は酒の飲めるレストランのグリーンチリにて肉とマトンマサラカレー、チキンカレーを頼む。これは本当にうまかった。



インドでは外で酒が飲める店が少ないのだが、ビール「キングフィッシャー」に挑戦。意外にもキレのある味で納得。だが140ルピーと、メシ一食分と同じくらい高いのがたまにキズ。

帰路でビールを買う。

インドの酒屋は大繁盛。競のようにインド人がウイスキーやビールを買いあさる。


帰りにバナナも買って帰ったが、殴り合いの喧嘩も見た。夜のデリーは怖い。

夜は15度、昼間は35度。
一日中歩き回った疲れは体にしみていたようで、宿に着くと一口ビールを飲んですぐに眠り込んでしまった。
初のインド歩きはいろいろショッキングであった。