新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

代官山蔦屋書店〜キュレーションにより再構築される知の価値〜

6月も折り返しますよ!!
どうも僕です。

たまの日曜日ですが昨日の結婚式二次会でしこたま酔ってしまったため、午後二時に起きた。遠出は望めないため近場で散歩するかと、なにも考えず山手通りを音楽を聴きながら北上し、代官山へ。(本当はラーメン二郎目黒店を狙っていたが店が閉まっていたので方向転換したのというのは余談である)

ふらふらとさまよっているうちに蔦屋書店代官山店へ到着。
恥ずかしながらプライベートで代官山へ来ることも数回もなく、存在は知っていたが通りすがるだけで終わっていた蔦屋書店。
次世代ツタヤとして話題になっていたことを思い出しせっかくなので入ってみた。

店内の写真は撮影できなかったため店自体の紹介は下記レポート記事をご覧いただいたほうが具体的にわかるかと。
代官山の大人のためのTSUTAYA「蔦屋書店」
http://www.fashionsnap.com/inside/ikihana-tsutaya/

〜上記URL記事抜粋〜
3棟からなる「蔦屋書店」は約15万冊に及ぶ書籍・雑誌、約13万枚のレンタルCD、約8万タイトルの映画と膨大な量を集積しています。加えて「STARBUCKSスターバックス)」や貴重なアートブックや雑誌とアートに囲まれるラウンジ「Anjin(アンジン)」、旅行の手配ができるトラベルカウンター「T-TRAVEL」、文具コーナーなど、本や音楽、映像をより深く味わうために併設されたスポットも見所。

正直なところ、いわゆるの東京の「メガ」書店、紀伊国屋ブックファースト丸善三省堂・・・等々と比べれば、単純な書籍の数自体は取り立てて多いわけでは無いと思う。
だがしかし、そこでは決して味わえない知的好奇心への刺激が感じられること請け合いな書店である。
【何が他の書店と違うのか?】雑感ではあるがまとめてみようと思う。

1.挑発的陳列
店内をそぞろ歩いてみると、書棚の本たちが
「おい、俺を読んで行けよ!」
と、客の脳髄に語りかけてくるような、体感的にはそんな陳列である。
現代、特に日本の「メガ」書店のラインナップはおそらく世界有数の充実度ではないかと思う。特定の買いたい本が決まっていて、「指名買い」する場合ニーズにはほぼこたえてくれるのではないだろうか。
だがしかし、情報量があまりにも多すぎてもなかなかに自分にフィットした情報を選びづらいもので、どちらかというと僕は大型書店を避け、趣味人が経営しているような古本屋
高円寺アニマル洋子
http://animal.nobody.jp/

中野タコシェ
http://tacoche.com/

といった類の店へ足を運んでいた。そういった店は少年誌のマンガ新刊やファッション雑誌、村上春樹の新刊など、売れる本はほとんど置いていないのだが、店主がこだわりをもって陳列や仕入れをしているのでなんとなく店に行ってもそれなりに新しい本が買いたくなるのだ。
膨大な粗い情報ではなく、ある程度の色眼鏡で情報を選別する行為を「キュレーション」と呼ぶが、僕は僕なりのキュレーション済の情報を求めそこへ行っていたのだろう。

代官山蔦屋書店は、そういったキュレーションを各ジャンルにおいて既存書籍、情報に対してかけ視野が広がりやすい構造になっている。
たとえばヴィレッジヴァンガードにもある傾向だが、POPの量。温度感をもった人間が店を回しているのだという安心感もある。また良くも悪くも一点ものの多さ。メガ書店で売っていない書籍がたくさんある(おそらく全国の他店から取り寄せてきているため値札が貼りなおされていることが多い)

決して最新情報満載!!というところではなく、最新のトレンドにあわせて既存の知の集積である書籍を並べなおしていると体感できる。

サブカルチャーだけでなく、王道であるメインカルチャーやいい意味で浅く広いトレンドを感じられ、気になったところは深めていくことができる。そんな書店なのではないか。



2.クロスメディア対応
このご時世、一つのトレンドや芸術は決して書籍だけでは終わらない。
書籍が映画化されていればそのDVDが見たくなることもあれば、その書籍に登場する音楽が聞きたくなることだってあるだろう。旅行書を読んでいれば旅行の予約だってしたくなるかもしれない。
一つの趣味が多種多様な形で堪能できることは贅沢ではあるが、それを一度に実現できる店ってなかなかないのではなかろうか。

同じ映画でもジャンル別にすすめるのか、監督別にすすめるのか、時代別にすすめるのかなどさまざまなレコメンドの仕方がある。
映像や音楽も書籍と同様に多くのPOPや、トレンド別の配列がなされており、探す店というより眺める店として来店者を楽しませてくれる。

3.時間を忘れさせる空間
店内は暖色系の照明に統一され各所に買った書籍を読める空間がある。
また店内にラウンジやスタバがあるだけでなく、店の周辺にも各種専門店がいくつか軒を連ねるちょっとした庭園がある。

「こんなオシャレで知的な空間に来てる俺かっけええええええええ!!」

という他では味わえない自尊心の充足が得られる。

「新宿の紀伊国屋によく行くんだけどさ」

というより

「代官山の蔦屋によく行くんだけどさ」

というほうがどことなくオサレに聞こえてしまう、そんな感じである。

【総括】
代官山蔦屋書店、捻くれ根性の汚らしい肉塊である僕は正直今まで

「オシャレどもが集う意識高い店」

とか思って敬遠していたきらいがあったのだが、実際すごくいい店。
かつて僕が古本屋へ行っていたモチベーションって
「一般人が興味を示さないこんなディープな本読んで流行に流されない俺kakkeeee!!!!」
したかったところが正直あった(まあサブカル好む動機がこれって結構多いケースなんじゃないでしょうかね)

でもそうするとどうしても人文系とか宗教系、思想系に好奇心が偏ってしまって、王道カルチャーの知識が深められないなあというコンプレックスがあった。
代官山蔦屋書店であれば、古本屋根性そのままに、知識や好奇心の裾野が広げられるのではないだろうか。

しかも深夜二時までやってるらしいね。