新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

いいかい?いまからちょっと夢と言うものを形にしてみようか

「感動を売る」とか「夢を与える」だとか。

そんなものはきれいごとだと、到底金を稼ぐツールである「仕事」として成り立たないんだろうと、心のどこかでそう思っていた自分がいた。



でもそんな汚らしい自分は、おもちゃを本当に真剣に作っていると自信を持って語る人の前に粉々に崩れ去ったりして。







自分語りばかりしてすみませんね。なんの話かって?先日バンダイに行って感じてきたことです。







例えば仮面ライダーなりウルトラマンのオモチャがあるとする。

一般的なメーカーとして、経営的に見れば、それはあくまで番組とのタイアップで企画、販売する商品の一部であり、一定の売り上げが見込むドル箱商品の一つなのかもしれない。





でもそれを欲しがる子供たちは、その特撮の世界をTVで見て、純粋に正義のヒーローにあこがれて、なけなしのお年玉をそれにかけてボロボロになるまで遊ぶ。あるいはお父さんやお母さんから買ってもらったりすることで、知らないうちに愛を受け取って、思い出として強く刻むんだと思う。

また、それを子供に買い与える大人は、きっと子供を幸せにしたくて、笑顔が見たくて。普段子供の好きなものに無頓着だったとしても、オモチャ屋さんでなんとかそれを探して、それを贈ったりするんだと思う。

子供という純粋な存在に与えたり、与えられたりするものはそういったぬくもりの籠った優しい感情が溢れている存在であるべきなんだ。



ここ最近の深夜アニメCLANNAD 〜AFTER STORY〜があまりにも神がかっていて「家族」というテーマに敏感になっているせいか、なおかつそこでおもちゃに関するエピソードがあったからか、そういった気持ちを最近になって強く持ち始めた。







逸れましたね・・・まあそんな風に「作品という文化的な世界を含むものづくり」は「人の心に何かしらのダイレクトな影響を与える可能性がある製品」だからこそ独特のこだわりかたが大切なのではないかと思っている。出版物でも映画でも映像作品でも、おもちゃでも音楽CDでもその他いろいろでも。





そんなことを思って参加したセミナーだったんだけど、実際におもちゃを作る側にいる人たちはそういった心意気でもって、熱く仕事に取り組んでいた、と社員のトークを聞いて感じた。



セミナーで話を聞いた社員は、当然ながらみんながみんな入社前からウルトラマン仮面ライダーが好きだったりするわけではない。



しかしそんな彼らの共通項は

「自分たちの作るモノが感情を帯びる存在になることを想定した上で、その感情の持ち主の気持ちになってモノを作る」

と考えで仕事に取り組んでいる点にある。





まず、仮面ライダーウルトラマンに対して真摯な態度で接する。

「その武器のデザインで本当に世界を救えるのか!?子供はそれで胸躍るのか!?」

という世界観と商品の観念のすり合わせから始まり、子供が安全に遊びやすいモデルを作り上げるため何度も試行錯誤を重ねる。

そして、持ち手や形状を工夫するなど、できるだけ子供が遊びやすいような工夫をデザインを損ねない程度にできるだけ施す。

最後に、口に入れても平気かとか、鋭利な部分はないか、とか幼児が遊んでも安全性に問題がないかどうかを試験する。



結果ライダーベルトや戦隊ものの合体ロボット、美少女戦士の魔法グッズが出来上がるのだ。

よって求められる資質は、作品やおもちゃがどれだけ好きか、という点よりも「おもちゃを介して提供する喜びの質を高めることにどれだけ熱くなれるか」点が重要視されるのだと思った。





「破壊は一瞬、建設は死闘」

というのはいつぞやのラーメン屋で額に飾ってあり印象に残った言葉なのだが、ものづくりというのは本当にその通りで、作り手は現実の様々な条件に左右されながらもこだわりを続けなくてはならない。

しかしバンダイの社員は自分たちの仕事が、子供たちの夢や感動を形にして提供することだと分かっているからだろうか、そういったもの作りへの追求を心から楽しんでいるように見えた。





アニメや特撮の製作側とおもちゃメーカーのタイアップが製作の幅や創造性を狭めるのではという指摘をする私服の青年もいたりした。

確かにそれはそれでひとつ事実かもしれない。

でも、子どもたちあってのアニメや特撮であり、子どもたちのためのおもちゃである。それにそって工夫を続ける現場の人たちの努力は、決して間違った方向性のものではないと、今回感じた。









まあ・・・バンダイ会社説明会は色々な僕の先入観が入ってる+初めてメーカー見た+美化しすぎという要素があったにせよ、なかなか感動的でしたと、そういうことです。