なんとなく、バレンタイン
銀行のセミナーに行こうとして携帯電話を家に忘れた。
駅で気づいて取りに帰ろうかと迷ったがやめにした。
セミナーでの人事の一声は
「みなさん、バレンタインの土曜日だというのにお集まりいただきありがとうございます」
そう言われて改めて気づいたりして、「まあ、なんとなく」金融マーケットのことなどを熱っぽく語る銀行の人たちの話を聞いていた。
そのまま帰るのも「なんとなく」気が引けて銀座の街並みを彷徨して店を冷やかしつつ、バレンタインの夜に腕を組んで闊歩する人々とすれ違っていた。
帰ってきて携帯をチェックすると英語の迷惑メールが2通と友人からの他愛無いメールが1通。でもその1通で「なんとなく」安心する自分がいた。
セミナーとかで企業の社会人たちから色々な話を聞いて感じるのは確かで素早い論理的思考力とそれを話に構築する力だ。
一方でそれを聞いて整理するのが精一杯な自分がいて、果たしてそんな人々の中で自分が働いていいものなのか、そもそもこの就活という舞台に「なんとなく」乗ってしまった自分の主体性はどこにあるのか。
そんなことを考えるとすぐにでもドロップアウトしたくなってしまう時がある。
今は論理的な話題から少しでも離れて圧倒的な感動に心を押しつぶされたい。
美しい絵を見てその生の輝きに触れたい。精巧な文章の行間から作者の息遣いや魂を感じたい。演奏に魂のこもった音楽に耳を傾けながら酒で脳を溶かしたい。そんな感じです。