新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

氷穴と下部温泉

今日は九ヶ月間の波乱に満ちた留学から帰還したY田先生と、ひげと共に武田信玄隠し湯と言われる下部温泉を訪れてきた。



下部温泉は富士山麓の河口湖、本栖湖青木ヶ原樹海を越えて山道を経た山中に静かにたたずむ温泉だ。日蓮宗総本山の久遠寺から近い。

武田信玄が矢傷を追った時に湯治をしたと言われており、秘湯として旅の本に取り上げられていた。



温泉に行きたい、という漠然とした衝動を持っていた僕らの心を「秘湯」という響きがくすぐり、目的地に設定することとした。



久我山でY田、新百合ヶ丘でひげを拾って一路、御殿場を目指す。

アメリカから帰国したY田は懐かしのオーバーリアクションを披露していた。

もっとアメリカナイズドされてくるのかと思いきや、日本の良さを再確認して説く男となっていた。



御殿場から河口湖に向かい、樹海方面に車を駆っていると気になる表示が。



『氷穴、営業中』



そもそも氷穴とはなんなのか。営業もクソもあるのだろうか?



「氷穴って何?」



「氷の穴じゃね?」



というミジンコクラスの会話をカマす僕とY田を見かねて、富士山付近に特色ある穴がたくさんある理由を噴火の歴史を踏まえながら説明するひげ。

さすが伊達に先生をやっていない。今度から穴博士と呼ぶことにした。

そんなひげのリクエストもあり、一度は通過した氷穴に敢えて引き返し突入。



縦穴になっており、階段を下ると冬並みの冴えた空気が体を包む。震える半袖半ズボンのひげ。

洞穴の奥に進むと時に高さ90センチの狭い内部に加え、ところどころつららが下がるようになる。その温度0℃。

そして氷の山の上に寝そべって写真を撮れと要求するひげ。

この時鋭い氷で足に切り傷をこさえることとなる。



氷穴で体を冷やした一行は温泉へと再び進路を取る。が、途中に人間の大腸を思わせる連続カーブが!時に中心線をはみ出す危険運転をしつつなんとか下部温泉に到着。

さっそく本に紹介されていた源泉館の足下湧出泉へと向かう。

熱い温泉と30℃の冷たい源泉に交互に浸かるという一風変わった温泉であり、温泉の湧出する岩盤の上にそのまま作ったという浴場が売り。

ちなみに混浴である。

最初は冷たいと思った源泉だが、浸かっている内に心地よくなってくる。

まったりとしていると、おばあちゃんがしわしわと寄って来て、この源泉が下部温泉の中でも有名であることやその効用、山梨学院大などのスポーツ選手などが治療にくるというようなことを語ってくれた。

確かに浴後は異様に肌がさらさらになり、体が軽くなった。湯治しにくれば効果がありそうである。



一時間半ほど浸かった男たちは空腹を満たすべく温泉街や道の駅を訪れるもどこも「休業日」「定休日」。都合のいい時にいつでも飯の食える都会の便利さを実感ww

本栖湖まで戻ると一軒のそば屋をみつけ、そばと鹿肉のたたき、山菜の天ぷらを食べる。朝からロクなものを食っていなかったこともあいまって、どれも絶品だった。Y田は日本の飯はうまいとか、器ひとつとっても趣があるとか、日本大好きな外人のようなことを言っていた。たしかに彼の話を聞くと、日本の食生活は恵まれていると思った。



帰りは二人に運転を任せてまったりとしていた。





日帰りでも根気と工夫と楽しい仲間がいればいい旅ができるものである。