新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

読書感想なるもの

今日、遠藤周作の「砂の城」を読み終わったぺ





自己紹介の「好きな本」に遠藤周作を挙げた割には2,3冊くらいしか読んでいないので夏休み一冊目は遠藤さんの本を読んでみたり。





彼の本は「沈黙」「反逆」「海と毒薬」などの純文学系と青春話などを扱った軽小説系に大きく別れてて、この本は後者に属してるみたいだから軽い気持ちで手にしてみたら、予想外衝撃を受けました、はい。





主人公は高校時代から大学時代の青春期に共に夢と希望を描いた友人達を時代の流れに奪われていくというあらすじ。

二度と戻ってはこない素晴らしい青春期に思い描いた夢を、ある人は過激派に求め、ある人は愛人への破滅的な献身に求める…そんな中、主人公は自分の信じた道を突き進み、憧れのスチュワーデスになることができる。しかし彼女には想像もできない形で散っていった友の描いた夢を作っては消えていく砂の城と例えて、この小説のタイトルにかえています。







僕が1番心に残った言葉は、戦争に恋人も人々の笑顔も奪われた時代に生きた主人公の母の遺言の中にある



「この世の中には人がなんと言おうと、美しいもの、善いものがあって、その尊さと、憧れだけは失わないで欲しいの」



というもの。

昭和の雰囲気を感じながら読み取れる、つねに高みを目指す努力、ひとりの人を心から愛する力、人と人との絆、人が決して破壊してはならない豊かな自然。この本が書かれたのは僕の生まれるかなり前だけど、これらのものはすべて現代社会でも失われがちなものだと思った。





「美しきもの、善いもの」人に嘲笑されても、時代の荒波に揉まれても、これを探し続けることが人間の生きる本当の意味なんじゃないかなって思いました。

がらにもなく(笑)