新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

はやくも11年

今日で阪神大震災から11年が経つ。東遊園地では今年も追悼の蝋燭がともり、小学生は「しあわせはこべるように」を歌うのだろう。だが、悲しいかな、今の小学生にはもはや震災の記憶はないのだ。



1月17日が来ると毎年決まって灰色に染まった須磨の空を思い出す。長田のほうから風に乗って火災による黒々とした灰塵が流されてくるどんよりと曇った空を。以来、人の命を焼く炎の色は紅蓮でなく漆黒なのではないかと僕は思い続けている。あの曇り空と瓦礫の山から聞こえたおばあさんの叫び声の記憶は一向にうすれる気配がない。一生思い出せる数少ない光景になるのだろう。

奇しくも今日、強度偽装関連の証人喚問があったようだ。11年の歳月が震災の記憶を遥か彼方に追いやってしまったのだろうか。それともやはり当事者でなくては喉元過ぎれば…となってしまうのか。いや、当事者すらも移り行く時代の流れに記憶をうすめられてしまうようだ。

もはや関西でも、住宅には安全よりコストパフォーマンスをもとめられるようになってきているらしい。

少し前に科学雑誌「ニュートン」の吊り広告に、東京の地震危険度は世界一と書いてあった。地震は明日くるか100年後にくるかわからないが、関東地方にとって地震は人事ではない。近頃東北や茨城あたりがよく揺れるが、その歪みが東海地震に繋がらないように祈るだけだ。