新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

情熱は約束を守った〜人形劇ギルド〜



ドコモは「信頼できる携帯電話」auは「大満足キャンペーン」。そこにきて我がソフトバンクは「予想GUY」。もう覇を争うのはあきらめましたか。でもいい心意気です。多少使えなくてもとことん付き合ってやろうという気になりました。

どうも、YOUTUBE鳥肌実ばかり見て無駄な時間を過ごしたやすいです。

先日、妹が友人から借りてきたというBUMP OF CHICKENの、「人形劇ギルド」というDVDを見た。以下ネタばれ注意!!!↓↓











バンプクレイアニメのDVDを出す、と聞いたときの普通の人の反応は「!?」だろうと思う。少なからず僕もそうだった。

でも映画型と称される彼らの音楽には、作品にもよりけりだけどたしかに物語が存在していて、DVDによる映像化ということは、それを生み出す藤原基夫という男の頭の中を覗けるということでもあり、楽しみにしていたこともまた事実であったりする。

この作品はアルバム「ユグドラシル」収録の「ギルド」をモチーフにつくられたもので、炭鉱島に住む一人の男マンナズとその娘ベルカナの話である。マンナズは炭鉱夫をしていて、妻を失っているが、ベルカナと共に暮らすことになによりも幸福を感じている。ベルカナは父親思いでピアノを弾くことが大好きな少女だが、マンナズの収入ではしっかりとしたピアノを買ってやることができない。ある日ベルカナは教会のピアノを弾く機会があり、その才能を神父に褒められる。

そのことを知ったマンナズは、ベルカナに立派なピアノを買ってやるために、通常の坑道よりはるかに深いところにある坑道「ギルド66」に入ることを決意する。そこは光の決してとどかない闇で、何年間も地上に戻ることは許されず、食事と新聞のみが与えられるというひどい坑道なのだが、ピアノを買うためには、彼は報酬の高いギルド66に入るほかなかった。

ベルカナにことわることなく深夜ギルド66に入ったマンナズ。朝ベルカナが起きるとマンナズの姿はすでになく、事情を知ったベルカナは悲しむもひたすらピアノの練習に打ち込み、リサイタルを開くほどのピアニストに成長する。

しかし、ギルド66で老いながら働きつづけたマンナズは、ダイナマイトによる事故で耳が聞こえなくなってしまっていた。そのことに罪の意識を感じたマンナズは初のベルカナのリサイタルにも、とうとう出席することはなかった。マンナズが愛用していた蝶ネクタイのみが置かれた最前列の観客席を見たベルカナは、それでも心を込めてピアノを弾き続け、その音色は遥か地中のギルド66でつるはしを振るうマンナズの心にも届くのだった。



この作品の感想をひとことで言うのは正直酷である。

しかし、「心を音楽に撫でられた」というような熱い感覚はたしかにあった。

ストーリー展開はぶっちゃけ結構予想に難くないんだよね。でも、そこに至るまでのあたたかみ全開の演出がやばかった。曲を聴いて思いを馳せて、感動を覚えるのが音楽の基本的な楽しみ方だと思うんだけど、聴覚だけじゃなくて視覚にもストレートに本質に近いことを伝えられると、心が膨張してどうしようもない胸キュン状態になることを知った。

いままでのBUMPネタのブログにも多々書いてきたことだけど、このバンドの魅力は「冷え切った胸の奥底にある心を生身のナイフでこじ開けてくれる」そして「ゆりかごのような優しさを心に思い出させてくれる」ところだと思う。要するに、麻痺した心に本来人間にあるべき形を思い出させてくれるってかんじ。

でもそれは、通り一遍のとっかかりかたでやると単なる説教で終わりがち。それををBUMPは情熱をこめた歌詞、耳にはいりやすいメロディを介することによって自然に成功させている。今回の作品はその情熱がDVDに向けられたものであって、表現の媒体は違っても、それを作る人の素養、人間力、そして情熱があれば、すばらしい作品ができるということがよくわかる。

メジャーデビューして、人気が加速するにつれアイドル化してしまうのがバンドの常ではあるが、そうなりきることを許さない存在感とポテンシャルがBUMP OF CHICKEN、藤原基夫にはあると思う。