新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

雪、降り積もる静かな粒

すごく・・・積もってます



まさとと今年初めて会った。昨年貸した金を返してもらおうと思ったら、

「彼女に○万円のカバンを買ったから返せん」

とえらそうにのたまうまさと



おんどりゃー!!歯ァ食いしばれ!!



といこうかと思ったがDT的にそこは踏み越えてはならない領域なのかと思い自重。僕がプレゼントに使うお金は家族以外ないからな・・・orz



マジメに金を稼いでいるのかと思いきや最近はパチスロにうつつを抜かしているというまさと。意気揚々とエスパスの自動ドアをくぐり、黒ひげ危機一髪の台の前に座るまさとを、僕は止めなかった



「どうせ一万円くらいすっちまうんだろ、このヤロー」



友人としてあるまじき感情を胸に秘め見つめる僕をよそに、熱中するまさと。



30分後、ヤツは予想外に5000円分勝っていた。

「これでパチの魅力に目覚めたか?」

と僕を誘おうとするまさと。しかし僕は、パチンコと麻雀だけは廃人になるような気がする、という信念を固く守ることを今日再び誓ったのだった。



夕方、プレゼント包装された○万円のカバンを持ち彼女の家に泊まりに行くまさとと、新宿で別れた。

なんとなくまっすぐに家に帰る気になれなかった僕は新宿を彷徨した。



いつも歩いているのに、いつもとなんだか違う街な気がした。どうにもならない、思い返せば恥ずかしいくらいにセンチメンタルな気持ちが否応無しに僕を包み込む。生きている実感が無い?そんな中二病みたいな気持ちじゃない。こんな風に孤独ぶった自分を演出して気取ってる?そこまで自虐的な気分でもなかったと思う、多分。心地よくもなかったし、落ち込んだ気分でもなかった。ただ、頭の中に灰色の倦怠感があって僕は人ごみに身を委ねたがっていた。



空から降ってきた雨のような雪がボタボタと僕の肩に落ちてきて、ふと我に返って中央線に乗り込んだ。



荻窪駅に着いても、やっぱりまっすぐ家に帰る気がしなくて、放課後寄り道する中学生のようにバッティングセンターで時間をつぶした。



気づけばバッティングセンターのネットに落ちるボタ雪は白い粒に変わっていた。

帰ろうと思った頃には雪はしんしんと降り積もっていて、駐輪場の自転車のサドルにも雪のチャーハンが盛ってあった。

自転車そとぼとぼと押しながら帰っていると、橋のたもとで猫と出会った。一刻も早く屋根のある場所へ移動したがっていたそぶりを見せる猫だったが、思わず屈みこんで眼を合わせてみる。杉並区の猫がたいていそうであるように(というか猫が一般的にそうであるのかどうかはわからないが)猫は脇を僕の脚に擦り付けてきた。

その体の柔らかさと動きが、妙に優しく感じられて、僕は思わず猫を触ろうとした。



猫は逃げていった。



猫が去るのを見届けて橋の周りを見回すと、夜の闇にそまって黒くなった善福寺川に、雪が降り続いていた。どちらかというとその雪の色は白よりも灰色に見えた。降り積もる灰のような雪、というよりも降り積もる雪のような灰、といったほうがしっくりくる風景。スキー場で見た雪より、河口湖で見た雪より、その雪はずっと灰色に思えた。



ふと

東京

だから

灰色なのかな?



そう思うと、なんだかいろいろなことに整理がついたような気がして、楽になった。家に帰るとオヤジが大阪から帰ってきていた。

ついおととい飲み過ぎで倒れて迷惑をかけたばかりなのにまた飲みすぎた。

酔って変な日記を書いているかもしれないが、後悔はしていない