新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

【働く女子の実態】・・・女子はいつまで「女子」なのか?



【働く女子の実態】というニュースを目にするたび、どうも腑に落ちない気分になります



そもそも「女子、男子」というくくりはいつからいつまでを指すものなのだろうか?

小学生。男子、女子は普通の呼称。

中学生。同じく。

高校生。男子高生、女子高生。

大学生。男子学生、女子大生。女子高生、女子大生は華盛り、といったイメージが世間では一般化している気がする。

社会人20代。変化が生じ始めるのはこのあたりからだろうか。男子社員、というのは違和感がでてくるが、女子社員という響きはまだ普通に聞こえる。

社会人30代。もし自分だったら、さすがにこの歳になって「男子」というのはいかがなものか?という気分になってくるだろう。なぜなら、ある程度の経験を積み、社会的な立場にいた上でなお、「男子」という冠をいただくのは少々いただけないからである。女子社員は・・・どうなのだろう。



つまるところ、男子や女子といった呼称は「大人、男らしさ、女らしさ」という見えない概念が混在し、時代と共に移り変わっているが故に、曖昧に使われているのではないか、と思う。



男性の場合は、社会に出て経験を積み、様々な点から見て成長することで「大人」として認められる、という一般的なイメージがあると思う。基本的に男は優秀な先輩や上司に憧れ、その成熟度を目指し無我夢中で自分を磨いていく。

女性だけでなく、男性の視点から見ても「大人の男」はかっこいいものなのだ。だからこそ、男性は「脱・男子」を是とすることができる。ある意味単純とも言える成長過程ともいえる。









女性の場合はどうなのだろう。

日本社会での女性の位置は、現実的には「全て理想的!!男女平等」と言い切れる状態にないとはいえ、昔よりも様々な意味で向上してきているだろう。こんなこと言ったら田嶋陽子にヒールで蹴飛ばされるかもしれないが、以前よりも社会で活躍する女性は増え、ライフスタイルも多様化しているのではないかと思う。いいことだ。実にいいことだ。



しかし問題は社会の変化に関わらず、女性の自分磨きで目指すもの、そして一般的な女性の価値観が「美」に置かれ続けているという点にあるのではないか。

美というものは難しい概念だが、メディアが謳う美、世間一般が考える美の価値基準とは、外見の美麗さ、華麗さにある。

カウボーイビバップ」劇中でフェイ・ヴァレンタイン(20世紀中にコールドスリープし、未来に目覚める23歳女性)が



「女は生きているだけでエラいんだから!!」



と言い放つが、今の40代女性が青春を過ごしたバブル期、若く美しい女性はそれだけで価値がある、という考えがあったという。

これは男の幻想や欲望の裏返しともいえるが、事実、それが時代の価値観であり、みなそれで納得して享楽的に生きていたのかなー、などと考えたりもする。



このような価値観が意味する「美」を目指すというのは年齢との戦いでもあるが、それに挑むというのは厳しいものだ。世界三大美人と言われる小野小町楊貴妃クレオパトラでさえ加齢には勝てなかったのだ。

女子フィギュアスケートを見ながらうちの母親が語るには

「女の子は見た目で言うとやっぱり10代から25くらいまでが一番かわいいのね。どんな人でもそこから少しずつおばさんくさくなってきちゃうのよ」



前述したとおり、女性の社会的地位は以前と比べれば向上している。女性は家庭に入るもの、といった昭和然とした考え方も古くなった。覇気がない、と叱咤される男性に対して女性は元気な時代になってきている。これもまた実感できる。

しかしそんな中、女性の目指すものが美に固定されたまま、というのが女性に残された足かせの一つなのか。



メディアはいつも、美しくあることを女性に要請する。かわいくなければいけない!女をあきらめない、女を捨てるな!などと声高に叫ぶ。アンチエイジング祭である。

それはなぜか。当然ながら「若さ、美しさ」を目指す女性の消費は資本主義的にオイシイからである。



スイーツ(笑)パスタ(笑)ランチ(笑)セレブ(笑)癒し系(笑) マイナスイオン(笑)エステ(笑)ナチュラルスイーツ(笑) 夏色コスメ(笑) 秋色ファンデ(笑) 自分らしさを演出(笑) 隠れ家的お店(笑) 思い切って残業(笑) デキる女性(笑)がんばった自分へのご褒美(笑) 等身大の自分(笑)くつろぎインテリア(笑) 常に上目遣い(笑) 愛され上手(笑)さぁ自分磨きがんばろう!(笑)納豆で血液サラサラ(笑)ふわモテカール(笑) 自立した大人の女性(笑) そんな彼女の普段の顔(笑) ハッピースピリチュアルメイクアップアドバイザー(笑) スローライフ(笑) キラキラ小物(笑) 詰め放題(笑) ピラティス(笑) ホットヨガ(笑) ハリウッドスターにも大人気(笑) くつろぎの温泉宿(笑) ツンデレ系でカレの気を引いちゃえ!(笑) かわいい(笑) 鏡に向かって頑張れ私!(笑)女だけで、楽しむ。(笑)新定番(ニュースタンダード)ワーキングビューティー(笑)



ついスイーツスレに出かけてしまった。

さらに最近では、「アラフォー」を受賞した天海祐希を始め、黒木瞳など30代半ば、40代になっても、主役などで最前線に出ている女優、タレントなども増えてきた。それはいいことだが、それに相乗して女性に

「若くいなければいけない」と要請する期間が長くなってきているのかなと感じる。

だからこそ若さを象徴する「女子」という名称をいつから使わなくするべきなのか、その境界線が決めにくくなっているのかもしれない。

現代の感覚にマッチした、美に限らないい意味で成熟した女性のイメージを、過不足なく自然に表現する言葉があれば、上に挙げたような美のプレッシャーのような状態も少しは変わってくるのかな、と思う。





もっとも個人としては、先走る言葉や周囲の価値観に踊らされず、自分が為す行為への誇りや、存在の仕方を自分で認められるのがベストだとは思うけれど。