新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

タフさ

就職活動というのは「就職先がある=幸せな人生が待っている」という価値観が保障されている時代において、人生の次のステップに進むためのひとつの階段だ。

それはまさに人生前半最大の総力戦と言っても過言ではなく、今まで生きてきたものの積み重ねが問われる故、その人自身の持つ客観的な能力に加え、今まで隠してきたつもりになっていた自分の精神性が大きく露出することとなる。



就職活動になってにわかに人脈を広げようとしたり、利害関係を気にしたりしてしまうというえげつない状況が発生するということもしかたないことだろうと思う。















まあそれはそれとして、最近よく思うのは大人になる上である程度持たなくてはならない「思考のタフさ」の重要性だ。







例えば「百年に一度の大不況」という言葉遊びが流行る昨今、「不況のせいで年収が下がった」「生活に困った」「会社が倒産してしまった」というような人はたくさんいると思う。これはリアル、言い換えればそれ以上でもそれ以下でもない事実であり、環境の一つとも言える。



肝要なのはこの状況に陥った時に大きく分けて二つの考え方、動き方があるということだ。



Aさんはこの「環境」に直面して「不運」と解釈しダメージを受ける。自分が悪くなかったという弁明、誰が悪かったということの解析を密に行って論を並べるだろう。

Bさんは「環境」に直面して「課題」と解釈しそれを敵と認識したかのように対処法を練る。具体的に言えば、不況の中にある次の時代の成功へのチャンスへの糸口を探すのに躍起になる。そして自分を鍛える。





Bさんは「タフ」なのである。「天才」でも「スーパーマン」でもなく「タフ」なだけである。





Bさんは、とにかく目の前の具体的問題を解決することを優先する。

誰が悪かったかなんて、あとから考える。銃で人が撃たれて、瀕死の重傷を負った人間が横たわっている時に、誰が引き金を引いたのかを議論している場合ではない。とにかく手当をして止血するのが先と考える。





「ボクは悪くなかった。時代が悪かった。」そりゃそうかもしれないが、それよりも先に考えることがあるだろう?と考えるのがタフ。「もうだめぽ」とAさんがorzする時何事もなかったかのように解決策を3つ4つ提示するのがタフ。





この「タフさ」をもった人材が、企業の根幹を動かすクリティカルワーカーに多いと僕は最近感じている。一方で決められた仕事を続ければいいルーティンワーカーには企業からも「タフさ」は求められない。

しかし不況になり雇用というパイの取り合いが始まったときに切られてしまうのはいつもルーティンワーカーだ。不況の時こそクリティカルワーカーによる次の活路を見出す工夫がなくてはならない。よって従来の企業のシステムを動かす人間は削減する。大味に言ってしまえばこういう感じだと思う。

悲しいことに、タフでなければ割を食う。実に悲しい。









例え話では極論でAさんBさんとしたが、この傾向、性格は何もどちらか一つしか持てないわけではない。あくまで「どちら寄りか」ということである。

僕の場合は基本的にAさん寄りである。

ネガティブであることが災い(これこそが言い訳の一つに他ならないわけだが)して自分の直面した状況に関して悲観的に解析し、次の行動になかなか打って出ずひきこもる傾向がある。





人間の本質や思考の傾向は外からのエネルギーでは変わらないし何がいいでも悪いでもない。一人一人違うだけだ。

きっとそういったものが変えられる存在は内からのエネルギー、言い換えれば向上心や自主性だろう。

あまり持ってはいないものの、わずかな内からのエネルギーを思考に対する「タフさ」の養成に当てていきたいなと最近思う。