新・時の軌跡~yassuiのブログ~

旅の話、飯の話、リビドーの話。

失われたはつこいを求めて

もし、



ゼミのプレゼン用にパソコンを持ってきて欲しい



と言われたら何の抵抗も無く素直にパソコンを持っていけるだろうか?



否。デスクトップの背景だけならまだしも、明らかに公益を害する類のファイルが変換されて貼り付けられっぱなしの状態の僕のFMVを晒すことなんてできない。







ふと新聞の関係で、青少年読書感想文コンクールの課題図書を探していたら、小学生時代の思い出が沸々と脳内に蘇ってきた。



僕にとって読書感想文とは比較的縁のある存在だ。

神戸時代の小学校の担任の教師は熱心だったこともあり、毎年なにかしら書いていた気がする。

僕の部屋は雑多な物質のメルトポットなので、中学生くらいのものならば作文の類はかなり残っているが、小学生ともなるとおそらくそうそう見つからないと思われる。見つかってもおそらくは悪筆のあまり中国語より解読作業が難航すだろう。







いよいよ次回で僕らも新聞引退となるわけで、去年の先輩方の最終号を参考に眺めていると、企画の中に「初恋の人に会う」という記事が目に入った。

最近部室内でいろいろと話に上る話題記事の一つなのだが、この記事のキモは





「はつこいの人に会えるのか??本当に会えるのかよ?もちろん精神的な意味で」といったところではなかろうか。





物理的にも、精神的にも、時間が経つと会うに会えなってしまう友人が、小学校時代レベルになると多い。

当時の自分と今の自分の大きな違いを自覚するあまり、今の自分を晒す気恥ずかしさが甚大であること、さらに相手も同じ時を消費していることで全く別人になっているかもしれない、というスリルや恐怖を味わわなくてはならないことなど、理由を挙げれば枚挙に暇がない。

さらに「初恋の人に再会」となると上記のような葛藤に加え、その子に熱を上げていた自分のイタさに満ち満ちた行動や過ちの数々を振り返ったり、その恋が終焉を迎えた時の嘆き、挫折などを十何年かの時を経て噛み締めなくてはならないというオマケ付き。



もうやめて!やすーいのライフはとっくに0よ!!







僕の初恋はおそらく小4だ。今までにもポツポツと書いてきたが、学校一の秀才にして容姿端麗という、絵に描いたような女の子で、能力主義の担任の偏愛を一身に浴びていた。その溢れんばかりの才気が、それまで同年代の友人達を見下して過ごしてきた僕の天狗の鼻をへし折ったのが、おそらく恋に落ちた瞬間だったのだろう(いずれにせよ、遅かれ早かれ日能研の灘、甲陽クラスで挫折していたのだが)。

まず最初に、卑劣な(というか「好き」という気持ちに素直になれない男子としてありがちなタイプである)当時の僕はその子をいじめた。物理的にwww

おそらくある程度ませた女子当たりなら



「あからさま過ぎる。ダメだコイツ、はやく何とかしないと」



という精神的ツッコミを入れていたのだろう。担任も当然「意気地なし。男のクズ」という評価を僕に下した(「安井は先生にバリ嫌われとったからなあ」友人による後日談)。

次はは正々堂々と勝負した。手を抜いていたテストも負けないように頑張った。絵画コンクールにも応募した。

だが何をやっても僕は、「その子の次」だった。しかし負けたことへの悔しさよりも、尊敬、憧れの気持ちが生まれ、ひねくれていた自分の本当の気持ちが見え始めていた・・・。



その矢先、東京への引越しが決まった。

小学生にとって異国に等しいその街の名は僕に絶望を味わわせるにはあまりに十分すぎた。結局その子とは普通の友達のまま、僕は西日本を去った。



東京に越して最初の年、恋しさのあまり神戸にいたときに出さなかった年賀状まで出した。

ちなみにその子はクラス全員に丁寧に手書きイラスト付きの年賀状を送ることで有名だったのだが神戸にいた時のヒネくれた僕は返事さえ出さなかった。いよいよもって救いようのないガキだったことが虚しく思われる・・・

年賀状はきちんと返ってきた。僕はその子の美しい字にしばし時を忘れた。

その後も一年に一回年賀状の往復は続いたが、東京での生活が一年、また一年と積み重ねられるにつれその子への思いも時の砂漠へと流れていった・・・

つくづくクソ以下の生き物である



月日は流れ、高校生になって携帯電話というツールを手に入れた僕は年賀状にメアドを載せてみた。顔の輪郭すら曖昧になりつつあったその子とメールすることさえ、冒頭のような葛藤はあったが、メールなら・・・という期待感がそれを上回った。

程なくしてその子からメールが来た。その子は県下一の公立高に進学していること、書道や作文のコンクールで多数入賞したこと、入賞者としてNASAやヨーロッパ諸国を回り、宇宙に関する勉強がしたいこと、部活に熱心なこと

など、その子の近況報告には相変わらずの優秀さがにじみ出ていた。



一方で、一介の凡庸な高校生(しかも成績最下位クラス、野球部ではハナクソ)と成り果てていた僕は



「クラスで成績は10番くらいで、野球部でショートを守っている」



船場吉兆も驚愕の捏造をかましてできる範囲で強がった。ある意味小学校時代よりひどい。



その後はなかなか連絡する機会もなく、大学になんとか滑り込み、春もたけなわ、彼女欲しいぜデロロローン、といった気分だった僕は偶然ネットで驚愕の事実を目にした!!その子がアイドルになろうとしとる・・・昔の面影を残して可愛くなってる・・・しかも東京の大学で物理学を専攻・・・か・・・

衝撃のあまり狂牛病末期状態のようなヘッドバンキングをカマした僕は半狂乱でタスクにメールしたり、メンヘラーのような日記を連発して周囲から不審がられたwww

タスクは必要以上にテンションが上がり、僕の背中をかなり強く押した。ある程度気を持ち直した僕は震える手でメールを送信してみた。「ネットで見た・・・kwsk。。。」的な。

返信は来た。

東京に来ていること、勉強を頑張ると同時に小さい頃からの夢だった芸能界を目指すこと・・・



高校まで真面目すぎて反動でも来たのか??と愚かしいことを考えていた僕だったが返信は割りと冷静で、筋も通っていた。



「文化祭実行委員もやっているので、学園祭に来ませんか」





その時、僕史が動いた



再び狂牛病にかかった僕はタスクに再び相談した

タスクは脳がスポンジと化した僕を学園祭へと引っ張っていった。

HPで見たその子は30分足らずで見つかった。ステージ周りを明らかに忙しく駆け回るその子を前にして僕の足は完全に「こおり」状態。なんでもなおしなんて持ってないよー早く帰るよーという僕をガチムチタスクの太い腕が押した。



「・・・」

「こ、こんにちは、安井です」

「え!?ほんまに安井君!?小さくなったん!?」

廃人に90のダメージ!!

「う、うん・・・」

(中略)

「じゃあ、ミニステージ楽しんで行ってね♪」



10年の時を超えた再会は2、3分であったが僕には10倍以上の体感時間だった・・・そして瀕死の重傷wwwだがその子の対応は優しく感じられ、心の奥の何かがゆっくりと溶けていくのを感じた。





その後の彼女は週刊誌のグラビアを数回飾った後、勉強のほうに重点を置いて大学生活を続けているようだが、この事件により僕の黒歴史だったはつこいは脳内で納得がいった。





また僕の場合は尊敬の念や憧れが魅力に変換されること、そしてなんだかんだ面食いなことが改めて確認できた。

まあ以上が僕の「はつこいの人再会」事件に関する一連の流れでしょうか。



そもそも当時詳細にかけなかったこの再会事件をこんなに冷静に振り返れる自分に驚く21歳の6月。僕もいつの間にか成人以上の存在なのだ。どうしたものか。。