よつやさん
【訃報】
— 上智新聞編集局 (@sophiatimes) 2017年5月13日
「よつやさん」として本学の学生にも知られている井出英利さんが5月10日(水)午後4時23分、脳出血のため都内の病院で死去、72歳だった。
よつやさんが亡くなった。
四ツ谷駅前の、イグナチオ教会の前で暮らしていた男性である。
御年72歳だったらしい。
僕が大学通い始めたのは今から約10年前になるが、その時からよつやさんは教会の前で暮らしていた。
四ツ谷駅前というのはちょっと特殊な空間で、人混みもなく、教会の前ということもありどこか清廉な雰囲気のする場所なのだが、そこに佇むよつやさんから異質な存在感を受けた記憶がある。
だが日本の色々な場所を旅して見聞を広めたり、大学の授業や読書で少しずつ考えが深まるにつれ、僕の中でのよつやさんの在り方は少しずつ変わってきた。
どんな人生を経てここにたどり着いたのか。ずっと交差点に佇み、何を見て、何を考えていたのか。また、よつやさんを見たときに感じた自分の気持ちは、とても浅はかではなかったかと。
よつやさんの目は鋭かった。何かいつも怒っているかのように見えたが、教会に礼拝に訪れるフィリピンや、ベトナムの人の中には、よつやさんの隣に寄り添い言葉を交わす人も少なくなかった。
大学を卒業し、折に触れ四ツ谷に訪れてもよつやさんは健在だった。
最後に姿を見たのはGWのことだ。
一言も言葉はかわさなかったが、そんなよつやさんがいなくなってしまったと思うと、胸の奥がチクッとするような、そんな気持ちだ。
合掌。